仲の悪い親族から大切な不動産を守る方法はある?
2012.12.04 更新
親族同士でその名義について取り合いになることもあります。
ある不仲の親族の例
父・一郎が亡くなり現在は母・フサコ名義となっています。
父・一郎には弟・二郎、妹・三江、弟・四郎がいます。
四郎の家族とは仲が良いのですが、二郎夫婦と三江の家族とは以前より不仲の状態が続いています。
それというのも、二郎と三江が、父・一郎が祖父から受け継いだ土地と建物は、祖父の相続人である自分たちにも取り分があったのではないかと主張しているのです。
祖父が亡くなったあと、残された兄弟全員で遺産分割協議により納得したにも関わらず、です。
平穏な話し合いもできないような状況です。
父・一郎亡きあと、相続して名義人となったフサコは気が気でなりません。
フサコとしては、当然子供たちに継がせたい。
なにかいい手立てはないものでしょうか。
所有権移転の仮登記をする
このようなとき、フサコは、子供たちに対し、「所有権移転の仮登記」というものをしておくことができます。
これは、名義人はあくまでもフサコのままで、フサコが亡くなったあとは子供たちに名義をあげますよ(「遺贈」といいます)、と明示する、予約のようなものです。
たとえばデパートで後日残りのお金を払ったら商品をお渡しします、というお取り置きをするようなイメージです。
この仮登記をしておくと、そのあとに二郎の妻や三江達が自分たち名義にしたとしても、子供たちが、予約されていた仮登記の権利が現実化したときに白紙に戻ってしまいます。
仮登記で気をつけなければいけないこと
ただし、この仮登記をしたときに気をつけなければいけないことがあります。
「仮登記の抹消手続きをする」
親族にとられる危険性がなくなったときには、仮登記の抹消手続きをしなければなりません。
抹消手続きをしないと、いつまでも仮登記は残ります。
仮登記が残るとどうなるのか?
これはどういう結果を招くでしょうか?
いざフサコが亡くなったとき、本来であれば相続の制度にしたがって土地と建物を引き継ぐことができたところ、贈与の制度にしたがい引き継ぐことになりかねません。
贈与の制度は、相続の場合よりも税率が高いため、思わぬ税金が課されることになってしまいます。
また、仮登記を抹消することも可能ではありますが、過去の事実の証明書を作成して抹消するため、専門家に依頼する費用も余分にかかってしまいます。
そのときどきの状況に応じた手続きをしていかなければ、後々困ることになってしまいます。